腎臓について
腎臓は、腰のあたりの背中側に左右1個ずつある、握りこぶし大の臓器です。
体の健康を保つうえで、以下のような重要な役割を担っています。
- 血液をろ過し、老廃物を尿として排出
- 体内の水分や電解質(ナトリウム・カリウム・カルシウムなど)のバランスを調整
- レニンというホルモンを分泌して血圧を調節
- エリスロポエチンを産生し、骨髄に赤血球の産生を促す
- 摂取したビタミンDを活性化し、骨の健康を保つ
腎腫瘍とは
腎腫瘍(じんしゅよう)とは、腎臓に発生する腫瘍の総称で、良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)に分類されます。近年では、健康診断や他の疾患の検査中に偶然発見されるケースが増えています。進行すると、血尿・腹部の痛みやしこり、悪性腫瘍の場合は体重減少・発熱・倦怠感などの全身症状が出ることもあります。
腎腫瘍の種類
1. 良性腫瘍
腎血管筋脂肪腫(AML)
- 血管・筋肉・脂肪から構成される腫瘍。
- 超音波やCTで脂肪成分が同定される。
- 小さい場合は経過観察が一般的。
- 大きくなると出血のリスクがあるため、手術や動脈塞栓術が検討される。
腎嚢胞(じんのうほう)
- 腎臓にできる水の袋(嚢胞)。
- 多くは無害で治療を必要としないが、まれに悪性化する場合もある。
腎腺腫
- 代表的なものにオンコサイトーマがある。
- 腎細胞がんと画像所見が似ており、画像診断での鑑別が難しい。
- 臨床的には比較的まれ。
2. 悪性腫瘍
腎細胞がん(腎がん)
- 腎腫瘍の中で最も頻度が高い悪性腫瘍。
- 高齢者、特に男性にやや多い。
- 初期には症状が出にくいが、進行すると血尿・側腹部痛・腹部のしこりを認める。
悪性リンパ腫
- 腎臓に発生することは少ないが、全身疾患として腎に腫瘍様病変を形成することがある。
- 画像では、均一な腫瘍増大や偽被膜の欠如が特徴。
- 生検で診断が確定すれば、化学療法が主な治療となる。
その他の腫瘍
- 腎肉腫(非常にまれな悪性腫瘍)
- 小児の腎腫瘍(例:ウィルムス腫瘍 など)
腎腫瘍の検査
腎腫瘍が疑われる場合、以下のような検査が行われます。
超音波検査(エコー)
- 腎臓に腫瘍があるかどうかを確認。
- 非侵襲的かつ簡便で、初期のスクリーニングに用いられる。
- 小さな腫瘍も検出可能だが、詳細な情報には限界あり。
CT検査(造影CT)
- 腎腫瘍の評価において最も重要な検査。
- 腫瘍の大きさ、位置、形状、周囲への浸潤の有無などを詳細に把握できる。
- 造影剤を使うことで悪性度の推定にも役立つ。
MRI検査
- 造影CTができない場合(造影剤アレルギーや腎機能障害など)に使用。
- 腫瘍の血管浸潤(腎静脈・下大静脈など)の評価に有用。
尿検査・血液検査
- 尿検査では血尿が見つかることがある。
- 採血では、CRPや赤沈の上昇などの炎症所見が見られる場合もある。
生検(針生検による組織検査)
- 基本的には画像診断で治療方針が決定されることが多いが、診断が困難な場合や治療方針を決める上で必要な場合には、生検を行うことがある。
腎腫瘍の治療
治療法は、腫瘍の種類(良性or悪性)・大きさ・位置・進行度・患者の全身状態によって決まります。
良性腫瘍の治療
- 多くは経過観察で対応。
- サイズが大きい、出血リスクがある場合は手術や塞栓術を行う。
悪性腫瘍の治療
手術
- 可能であれば手術が基本。
- 腫瘍が小さい場合は、腎機能温存を目的として「腎部分切除(腫瘍だけ切除する)」を行う。
- それ以外の場合は、腎臓全体を摘出する「腎摘除術」が選択される。
薬物療法
- 手術不能な進行例や再発例では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などによる治療を行う。
- 手術後に再発リスクが高い場合にも、補助的に薬物療法が行われることがある。
凍結療法・高周波焼灼術(ラジオ波焼灼術)
- 手術が難しい場合や高齢者・合併症がある患者に対して選択されることがある。
放射線治療
- 腎がん自体は放射線治療に対する感受性が低い。
- 骨転移に対する痛みの緩和目的などで照射を行う場合がある。